選手ごとの動きのきつさ(エネルギー面)の違いを見分けるために、ハイメットパワーを高強度走行距離と並べて見ることをおすすめします。
フットサルのように狭いコートでは、止まる・切り返す動きのきつさが、速度で区切る高強度走行距離には出にくいからです。ハイメットパワーは、加速・減速・方向転換まで含めてエネルギー消費の大きい動きをとらえる手がかりになります。
この記事の 4 つの手順で表に列を足すと、選手ごとの動きのきつさの違いを同じ表で比べられます。
OLIVER PRO Platform v2.0.69 の画面で確認(2026年11月)
ハイメットパワーは 20 W/kg を超えた動きをとらえる
元になるのは代謝パワー(Metabolic Power)です。走る速さだけでなく、加速・減速・方向転換で使うエネルギーも含めて、体重 1kg・1 秒あたりのエネルギー消費を推定した値で、単位は W/kg です。
この代謝パワーが 20 W/kg を超えている状態を「ハイメットパワー」、下回っている状態を「ローメットパワー」と呼びます。

Platform では 5 つの項目で見られる
説明は、各項目の横の「i」にカーソルを合わせると出る Platform の説明に沿っています。
| 画面の項目名 | 何を表すか | 単位 |
|---|---|---|
|
ハイメットパワー距離 (代謝パワー20W/KG以上) |
代謝パワーが 20 W/kg を超えている間に動いた距離。HMLD(High Metabolic Load Distance)に近い考え方の指標です | m |
|
ハイメットパワー時間 (代謝パワー20W/KG以上) |
20 W/kg を超えていた合計時間 | 分 |
| ハイメットパワー時間の割合 | セッション中に 20 W/kg を超えていた時間の割合 | % |
|
ローメットパワー距離 (代謝パワー20W/KG未満) |
代謝パワーが 20 W/kg 未満の間に動いた距離 | m |
|
総代謝エネルギー (KGあたり) |
セッション中に行われた総仕事量 | kJ/kg |
ハイメットパワー系の項目名には「20W/KG以上」「20W/KG未満」と表示されます。これらの項目の計算式は、OLIVER 社から公開されていません。
歯車から 4 つの手順で表に出せる
ハイメットパワー系の項目は、初めから表に出ている列ではありません。次の手順で選んで足します。
1. チームビューを開く
左のメニューの Dashboard から、チームとセッションを選んでチームビューを開きます。
2. 右上の歯車を押す
表の右上のアイコンは、左から 表示の切り替え・書き出し・歯車・AI の順に並んでいます。3 つ目の歯車を押します。左の列の「チーム」の横にも似たアイコンがありますが、そちらではありません。

3. 「データを選択します」を押す
歯車を押すと 2 つのメニューが出ます。上の「データを選択します」を押すと、表に出す項目を選ぶ画面が開きます。

4. 「その他のデータ」で選んで「保存」
「マイメトリクス」のタブのまま、左の一覧を下へ送ると、「その他のデータ」の中にハイメットパワー系の項目があります。見たい項目の丸を押して色を付け、下の「保存」を押すと表に列が足されます。
列の並び順は、右側の「データの順序を選択」で変えられます(図では省いています)。外したい時は、同じ画面で丸を押して色を消し、「保存」を押します。

項目名の右の「i」にカーソルを合わせると、その項目の説明が出ます(図の白い吹き出し)。
フットサルでは高強度走行距離と並べて見る
ここからは、スポーツ科学の一般的な考え方にもとづく OLIVER SPORTS JAPAN からのおすすめです。
速度で区切る指標
高強度走行距離などは、一定の速さを超えた距離を数えます。フットサルはコートが狭く、スプリントの速さに届く前に止まったり切り返したりする場面が多いため、きつい動きでも数字に出にくいことがあります。
代謝パワーで区切る指標
ハイメットパワー距離は、速さが低くても加速・減速がきつい動きをエネルギー消費の大きい動きとして数えます。高強度走行距離と並べて見ると、選手ごとの動きのきつさの違いがつかみやすくなります。
体への負担は、減速・加速の回数とあわせて見る
ハイメットパワーは「エネルギーをどれだけ使ったか」の目安で、筋肉や腱・関節にかかる負担そのものではありません。体への負担を見る時は、同じ画面の「爆発的動作の指標」にある減速・加速の回数や方向転換もあわせてご覧ください。また、20 W/kg を超える距離は日によるぶれが大きいと報告されている(Buchheit ら 2015、サッカー選手の研究)ので、1 回の値より数週間の流れで見るのがおすすめです。
ここで挙げた数値と文献は練習を振り返る目安で、けがの予防や診断のためのものではありません。痛みや不調はチームドクター・トレーナーにご相談ください。
よくある質問:選手の体重は関係ありますか?
A. OLIVER SPORTS JAPAN が実データで確認した範囲では、ハイメットパワーは体重の登録に左右されない値です。体重が計算に入っているのは「消費カロリー」です。
ハイメットパワーのもとになる代謝パワーは「体重1kgあたり」の値です。同じ動きをすれば、体重が違っても同じ数字になります。そのため、体格の違う選手同士を比べやすくなります。
| 項目 | 体重の登録 | 理由 |
|---|---|---|
| 総消費カロリー(推定値) 分間消費カロリー(推定値) |
使う | 1kgあたりのエネルギーに、登録した体重を掛けて計算します。体重がずれると、その分カロリーもずれます |
| ハイメットパワー距離・ハイメットパワー時間・その時間の割合 ローメットパワー距離 総代謝エネルギー |
使わない(※) | どれも「体重1kgあたり」の値です |
| 走行距離、トップスピード、高強度走行、加速・減速、方向転換、ジャンプなど | 使わない(※) | 動きそのものを測った数字です |
※ 計算式はOliver社が公開していないため、標準的な計算モデルと実データにもとづくOLIVER SPORTS JAPAN の説明です。メーカーの公式仕様ではありません。
例:同じ動きをした場合
総代謝エネルギーはどちらも 12.73kJ/kg とします。
- 体重50kgの選手:ハイメットパワー距離 1,325m/総消費カロリー 約152kcal
- 体重70kgの選手:ハイメットパワー距離 1,325m/総消費カロリー 約213kcal
(実際の数値ではなく、計算のしかたを示す例です)
カロリーもご覧になる場合は、選手登録の体重を最新にしておいてください。
※ 体重1kgあたりの数字は、体格の違いを計算上そろえた目安です。同じ選手の日ごと・週ごとの変化を見るのに向いています。けがの予防や診断のためのものではありません。
参考
- OLIVER 公式ヘルプ「Metabolic Power, CODs, and Jumps」
- OLIVER PRO Platform v2.0.69 の画面(チームビュー → 歯車 → データを選択します、2026年11月に確認)
- Buchheit M, et al. Monitoring Locomotor Load in Soccer: Is Metabolic Power, Powerful? International Journal of Sports Medicine, 2015
- McBurnie AJ, et al. Deceleration Training in Team Sports: Another Potential 'Vaccine' for Sports-Related Injury? Sports Medicine, 2021
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